2020年のGW、Twitterの同人界隈で「#エアコミケ #エアスケブ」というタグが流れました。
「エアコミケ」は、中止になったコミックマーケット98(C98)などのイベントの代わりに、ネット上で開催された企画です。
サークルさんは、リアルイベントのスケブのようなイラストをSNSなどで「エアスケブ」として投稿していました。
エアコミケもエアスケブも元々あった言葉のようですが、このとき新しい意味が生まれ、定着したようです。
で、最近また「エアスケブ」をTwitter上で見かけるようになりました。

と思い、詳しく調べてみました。
この記事はエアスケブというネット文化とポイピクのコミッションサービスについてのコラムです。
目次
そもそもスケブとは
エアスケブの前に「スケブ」という言葉について。
スケッチブックの略
本来は画材のスケッチブックの略称です。
濃い緑とオレンジの商品が有名でしょうか。

同人イベントの「スケブお願いします」
同人での意味はこちら。
同人誌即売会では、サークルが交流の一環として読者が持ってきたスケッチブックにイラストを描く事がある。略して「スケブ」とも。
出典:スケッチブック (すけっちぶっく)とは【ピクシブ百科事典】 引用日付:2022/04/21
「スケブお願いします」は「同人即売会でスケッチブックに絵を描いてもらう」シチュエーションです。

ネット文化のエアスケブ
では、「エアスケブ」の話に進みます。
まずはネット文化としてのエアスケブから。
大雑把に言うと「エアギターのスケブ版」でしょうか。
コロナ禍で一気に増えたエア旅行やエア飲み会と同じようなイメージ。
「スケブを頼まれた」という架空シチュ(ごっこ遊び)で描いたイラストとか、対面ではなくSNSでリクエストされて描いたイラストとかです。
リアルのスケブはアナログ絵ですが、エアスケブはアナログ・デジタルどちらもアリです。
デジタル全盛の現在も、アナログにこだわるクリエイターさんも多くいます。
「エアスケブ」でググると、2010年のヤフー知恵袋で「エアスケブってなんですか?」という質問がトップに出てきました。
ネットスラングとして結構古くからあるようです。

C98の代わりにエアコミケ開催
冒頭で書いたエアコミケの話。
2020年の夏コミは、東京オリンピックを避けて期間を変更し、GWにC98が開催予定でした。
しかしコロナ禍でコミケ含む同人イベントは開催中止となります。

代わりにネット上で開催されたのがエアコミケという企画です。
エアコミケとは?
東京ビッグサイトでの同人誌展示即売会というリアルなイベントとしてのコミックマーケット98は開催中止となりましたが、その「コミックマーケット98」という証を残すべく、「がんばろう同人!」プロジェクトの一環として、コミックマーケット準備会及び関連企業・団体さんが「エアコミケ」企画を実施します。出典:エアコミケ企画紹介 引用日付:2022/04/21
DL同人ストアやBoothで同人誌販売したりとか、サークルスペースの設営を自宅で再現した写真がツイートされたりとか、とても賑わっていましたね。
同人イベントのお祭り感がよく出ていました。
エアコミケは2020年のGWに第1回、年末に第2回。2021年のGWに第3回が開催されました。
C98は結局中止。2021年の冬コミがC99、2年ぶりのリアルイベント開催でした。
Skebでエアスケブ
エアコミケの開催中に「エアスケブ」をやるサークルさんがいました。
対面ではなくSNS、つまりTwitterでリクエストを受けて即興で描いた絵をツイートするという形です。(即興と言っても数時間~数日くらい)
無償でやる方も多かったのですが、Skebを利用するクリエイターさんもたくさんいました。

いま思えばもったいないです。
SkebはC98の中止を受けて4月まるごと手数料無料キャンペーンを実施していました。
このキャンペーンとエアスケブの盛り上がりで、Skebの知名度が爆発的に高まった感があります。
また、第1回エアコミケ以降も、エアスケブを募集しているクリエイターさんもいました。
第2回に合わせたり、不定期だったりと様々。
単に低価格でモノクロ画を受け付けしてる、というパターンもありますが。
これは多分2020年末。

※依頼文にエアスケブと書いてあるリクエストは意外と少ない。
ポイピクのエアスケブ
そして、最近Twitterで見かけるのはこれ。
ポイピクとは
「ポイピクとは」というページがあるのですが、コピペ不可で引用できませんでした。
なので公式ツイートから。
放置絵ポイポイ。練習ポイポイ。らくがきポイポイ。進捗ポイポイ。イラストポイポイSNS「ポイピク」正式オープンしました!
こんなところが便利で楽しい!というのをまとめてみました。(画像4枚) pic.twitter.com/EfsoSBqFHK— pipa.jp (@pipajp) September 26, 2018
「気楽に投稿できる」をコンセプトにしたお絵かきSNSのようです。
2018年9月にリリース。Skebより少し早生まれ。

ざっとサイトを巡ってみましたが、なんだか微妙に読みづらいサイトです。
ユーザー登録はTwitterアカウント連携でできて、登録後にきたメールに機能紹介などが書いてありました。
ポイピクのリクエスト機能『エアスケブ』
2021年4月21日、ポイピクに有償のリクエスト機能が追加されました。
【ポイピクお知らせ】
リクエスト機能の提供を開始しました!
クリエーターとして登録いただいた方先着200名様にポイパス1ヶ月分をプレゼント致します。
その他、詳細は以下の通りです。https://t.co/knVFP1BQmQ— pipa.jp (@pipajp) April 21, 2021

その後、リクエスト機能は「エアスケブ」に名称を変更。無償でもリクエストできるようになりました。
※なぜかこの変更についてのツイートは見つかりませんでした。
エアスケブの概要
エアスケブのガイドラインがあります。
この中でさらに「クリエイターのガイドライン」と「依頼者のガイドライン」が書かれています。
コピペ引用できなかったのでリンクをどうぞ。
だいたいSkebと同じですね。
あらためて「打ち合わせなし、リテイクなし」が日本のコミッションサービスのスタンダードになっているのを感じます。

Skebとの違い
大きな違いは無償リクエストもできること。
元々はできなかったのが、できるようになりました。
何故できるようにしたのでしょうかね?
あとはリクエスト画面で利用範囲が選択式なこと。
「個人鑑賞のみ」「私的利用(追跡可)」「私的利用(追跡不可も含む)」「自由な利用」の4つ。
「個人鑑賞のみ」がデフォルト。本当に個人で見るだけです。
「私的利用(追跡可)」がSkebと同等の「アカウントと紐づくSNSで利用可」になります。

エアスケブの利用範囲は選択式。
設定画面に支払情報があるのですが、リクエスト送信などの支払いが発生するアクション時にしかクレカ等の登録ができないようでした。

使いづらそう?
使いにくい、が正直な感想です。
実際にはリクエストをせず見て回っただけですが。
また、今回私はPCのブラウザでサイトを見ました。
Andoroid/iOSのアプリも用意されているので、そちらは使い勝手が良いのかもしれません。
見に行ったら星評価は低かったけど。
すぐに依頼する予定はありませんが、たまには覗いてみようかなーと思いました。

まとめ
エアスケブとは、
- 昔からあったネットスラング。エアギターのエア+同人イベントのスケブ。
- エアコミケでスケブを描くときにも、この言葉が使われた。
- ポイピクのリクエストサービス名に採用された。
こんな感じでしょうか。
元々はスラングだったエアスケブ、それを名前に使ったサービスが誕生。
これはSkebとも似た話ですね。
リリース時からスケブについて、WebサービスのSkeb・スケブと、即売会文化のスケブの検索クエリー数を継続的に比較していたのですが、ついにWebサービスのスケブが上回りました。当初目論んでいた意味の上書き(スケブは無償ではなく有償でリクエストする文化)に成功したかもhttps://t.co/s5ZXzObUYt pic.twitter.com/YGd5G73YfK
— なるがみ (@nalgami) January 14, 2021
Skebが目指し、実現した意味の上書き。
それがエアスケブでも起こる……かもしれません。

エアスケブの記事はここまでとなります。
