"Request"と"Commision"でRecomet。
TLで見かけた「NFT版Skeb」と噂のサービスについての記事です。
リクエスト方式はSkebとほぼ同一ですが、比べてみればあちこち違いがあります。
目次
はじめに
「NFT版Skeb」なサービスの記事ですが、私はNFTがよくわかっていません。暗号資産とか暗号通貨もフワフワの知識です。
この記事ではNFT自体には言及しませんが、こんな状態で書いてるということはご承知おきください。
Recometとは
コンセプトは「NFT作品のリクエストボックス」。2022年6月16日にベータ版が公開されました。
RecometはNFT作品のリクエストボックスです。
制作者は不要なトラブルを防ぐことができます。
依頼者はNFTの発行を前提とした作品をリクエストすることができます。出典:Recometについて 引用日付:2022/06/24
何度も書いているように、Twitterでは「NFT版Skeb」と呼ばれていました。
もう少し細かく言うと「Skeb方式でNFT作品をリクエストできるサービス」でしょうか。
リクエスト方式はSkebと同じ。
打ち合わせ・リテイクなし。「リクエストを送る」と「作品を受け取る」の一往復リクエスト。
料金表なし。クリエイターはおすすめ金額と最低金額を設定し、依頼者が実際の金額を決める。
違うのは支払い方法と納品ファイル。
お金はETHで支払い。クレカも銀行口座も使いません。お互いに暗号通貨のウォレットを使います。
そして作品はNFTで受け取り。
…この「NFTで受け取り」という私の表現、合っているのでしょうか?
NFTをすでに利用しているユーザー向け?
サイト内には「NFTとは」や「ETHとは」のような説明ページはありません。
依頼者(Skebで言うクライアント)のアカウント登録の説明もこんな感じ。
アカウントの登録
1.サービスページの右上にある「ウォレット接続」ボタンをクリックします。
2.接続したいウォレットを選択します。
3.「Sign-In with Ethereum」ボタンをクリックし、ウォレットで署名を実行します。
出典:依頼者ガイドライン 引用日付:2022/06/24
ウォレットというのを持っている前提の説明です。
つまり、すでにNFT界隈で活動している人たちを対象にしたサービスのようです。
いまベータ版なので、正式リリースでは変わるかもしれませんが。
私には日本円でいくらかわかりません。
運営はAtlie 株式会社
特定商取引法に関する表記 のページに情報があります。
「Atlie 株式会社」の所在地は渋谷、日本の会社です。
日本の会社なんですが、公式のツイートは全部英語でした。
1/ We're proud to officially announce our plans for Recomet.
Recomet is a service that allows you request NFTs from creators.
This service aims to prevent problems that occur around creators and create a world where creators can continue to create without any worries. pic.twitter.com/PvpCysUq4E— Recomet (@recomet_io) June 16, 2022
Twitterに翻訳機能無かったら離脱してました。
サイトも初期設定は英語ですが、画面上部の言語設定で日本語が選べます。
日本の会社ということを意識しない作りになっていますね。
NFT関連のサービスはそういうものなのでしょうか。
Skebとの比較
言いだしたらキリがないので、個人的に気になったところを重点的に。
エロ禁止
明確にアダルトコンテンツ・性的コンテンツに言及はありませんが、禁止行為に「猥褻な情報又は青少年に有害な情報を送信する行為」とあります。
第9条 禁止行為
(省略)
・猥褻な情報又は青少年に有害な情報を送信する行為
・異性交際に関する情報を送信する行為
出典:クリエイター向け利用規約 引用日付:2022/06/24
※すぐ下の「異性交際~」というのも気になったので、これも合わせて引用しました。これ何ですかね?出会い系?
クリエイター設定にNSFW可否の項目も無いようです。
ということはエロ禁止ですね。
二次創作はガイドライン等の許諾必須?
クリエイターガイドラインから。
また二次創作については必ず各プロジェクトや作品の二次創作ガイドラインを参照し、それらに従ってください。
出典:クリエイターガイドライン 引用日付:2022/06/24
利用規約ではさらに細かい文章。
第14条 保証の否認及び免責
(省略)
10.本クリエイターが本作品の作成にあったって第三者の知的財産権を有するものを利用して二次創作を行う場合には、本クリエイターが二次創作のもとになる原作品の知的財産権を保有する権利者から承諾等を得て適法に制作するものとし、当社は、本クリエイターが権利許諾を得ていることを保証するものではなく、本クリエイターによる二次創作に関して一切の責任を負わないものとします。
出典:クリエイター向け利用規約 引用日付:2022/06/24
二次創作の責任はクリエイター自身が負う、というのはまあ当然の話として。
>原作品の知的財産権を保有する権利者から承諾等を得て適法に制作する
同人やSkebで見られる「グレーゾーンの二次創作」もNGっぽいですね。
ただ、NFT界隈の二次創作は版権モノではなく、「一次創作されたNFT作品の二次創作」が盛んなようです。
界隈のクリエイターさんたちには問題にならないのかもしれません。
クリエイター登録は招待制(ベータ版の仕様)
トップページの「開設する」を押すと、メッセージが出ます。
Twitterで情報収集してみると「招待枠は3つ、登録した時点でもらえる、増えることはない」という感じ?
登録さえできれば納品実績がなくても招待できるようです。
クリエイター招待制のサービス、私はあまり良いイメージがありません。
ただ、Recomeはユーザー同士で売買するサービスで、NFTというまだ普及してない新技術を扱っています。
そうすると、初期段階では人を絞らざるをえないのかなとも思います。
NFT界隈で活動実績がある人、あるいはそういう仲間にサポートを受けられる人が当面のターゲットでしょうか。
支払いについて
手数料が安い
取引手数料は一律でリクエストの金額の2%となります。
出典:クリエイターガイドライン 引用日付:2022/06/24
2%です。
これは支払いが暗号資産のみだから実現できているのでしょうか。
2022年6月現在、Skebの最低手数料は6.8%。そのうちクレカ決済手数料が3.6%です。
クレジットカード決済手数料は3.6%。さらにサーバのインフラ費用や僕一人だけで運営しているとはいえ弁護士さんや税理士さんへの費用など様々なコストが発生する。利益ベースでいえば今手数料無料キャンペーンや3.6%キャンペーンによって、3月は売上前月比1.5倍だけど利益は60%減。
— なるがみ (@nalgami) April 9, 2020
今月、Skebでも暗号資産「Skeb Coin」が発表されました。
関連記事:【Skebコラム】Skeb Coinのお知らせが来ました。
「海外のクレカ会社の規制回避」を掲げていましたが、クレカ払いが無くなるわけではありません。「支払い方法の選択肢を増やす」という説明でした。
なので今後Skebの手数料が下がることがあっても、3.6%より低くなることはないと思います。
2%。Skebよりも更に手数料が安い!でお得感はありますが、逆に安すぎないか不安になる数字ですね。
承認されたら支払いを実行
リクエストは一往復ですが、承認されたときに依頼者側の支払い作業があります。
・支払いの時期
制作者がリクエストを承認した後、3日以内に支払いを実行する必要があります。
支払い期限を過ぎると、リクエストはキャンセルとなります。出典:依頼者ガイドライン 引用日付:2022/06/18
これ、クレカの場合は決済代行会社がやってくれている作業でしょうか?
手数料が低い分、手間が増えますね。
返金はGas代が掛かる?
まずGas代とは。利用規約に定義があります。
「GAS代」とは、Ethereum等によって支払われるブロックチェーンの利用の際に必要なネットワーク手数料を意味します。
出典:依頼者向け利用規約 引用日付:2022/06/24
※大文字でGASになってるのは原文ママです。
納期切れ(Skebでは承認後キャンセル)でこのGas代が発生するとのこと。この返金の作業も依頼者が自分でやります。
・納品されなければ全額返金されます。
期限を超過した場合など納品されない限り、全額返金が可能となります。実行は依頼者が行います。
※ Gas代が別途発生します。出典:依頼者ガイドライン 引用日付:2022/06/24
返金に実質的な手数料がかかるのは嫌ですね。
お気軽リクエストを謳っているSkebでも、納期切れでクリエイターへのヘイトを溜めている人を見かけます。
Gas代がどれくらい掛かるのかはわかりませんが、無いなら無いほうがよいです。
ちなみに今月(2022/06)、Skebでも暗号資産『Skeb Coin』が発表されました。
(詳しくは関連記事:【Skebコラム】Skeb Coinのお知らせが来ました。)
Skeb Coinの他にビットコインやコンビニ払いの対応予定も発表されています。
で、これらは「直接払いではなく事前にポイントを購入、返金もポイントで返す」という仕組みになるそうです。
こうすることで返金時にGas代が掛からないようになる…はずです。
ポイントシステムの導入はハードルがあるらしく、小規模のサービスでは気軽に採用できないとのことでした。
始まったばかりのRecometも難しいのでしょうが、納期切れ時にクリエイターさんにヘイトが溜まらない仕組みがなにか欲しいですね。
納品可能なファイル
・納品可能なファイル
共有コントラクトもしくは独自コントラクトのNFTに紐づく形式で、JPG, PNG, GIF, SVG, MP4, WEBM, MP3, WAV, OGG, GLB, GLTFのいずれかのファイルが納品されます。出典:依頼者ガイドライン 引用日付:2022/06/18
まず「コントラクト」がわかりません。たぶんNFT用語。
ファイル形式はSkebとだいたい同じですが、PSDがありませんね。Skebではイラスト作品の推奨になっている、レイヤーを保存できる形式です。
NFTの仕組み上、イラストは1枚絵=1ファイルなのでしょうか。
納品物の利用範囲から見る、Skebとのコンセプトの違い
最後にひとつ。そもそもコンセプトが結構違わない?という話。
納品物の扱いについて。
納品物の利用範囲
NFT保有者(依頼者)はプロフィール画像への使用や個人鑑賞の範囲に限り使用できます。
また、リクエストの本文に記載された内容で両者(クリエイターと依頼者)が同意した範囲に限って利用できます。
基本的にNFT保有者に、作品の利用権利が付与される想定です。そのため、依頼者が第三者へNFTを売却・譲渡した場合は、NFT保有者に作品の利用権利が移転します。出典:依頼者ガイドライン 引用日付:2022/06/24
個人鑑賞とSNSプロフへ設定は原則OK。依頼文に書かなくてもクリエイターさんは規約で同意済みです。
それ以外の利用目的があれば依頼文に書く。その内容も含めてクリエイターさんに承認してもらいます。
ここまではSkebと同じ。
>依頼者が第三者へNFTを売却・譲渡した場合は、NFT保有者に作品の利用権利が移転します。
これはNFTならではのルールですね。
※著作権の譲渡ではなく、利用権利の移転です。
Skebのコンセプトは「投げ銭付お題募集サイト」。
対してRecometのコンセプトには「依頼者はNFTの発行を前提とした作品をリクエストすることができます。」の一文。
二次売買することを前提とした依頼も可能なのでしょうか?
このへんがSkebとは違った可能性を感じると同時に、トラブルの臭いもするなーと思います。
自分が見たい・欲しい作品のリクエストに限らず、「売れるモノ」の共同制作や企画持ち込みのような感じの、クリエイター支援とは違ったリクエストもできそうで。
匿名・非表示依頼はできない?
そういえば、規約やガイドラインで「匿名・非表示」を探してみても、それらしい文章が見つかりませんでした。
※アカウント作ってないので実際の依頼画面は見ていません。
匿名や非表示での依頼はできないようですね。
サービス以前にNFTの仕組み上、無理なのかもしれません。
また複数アカウントの作成も禁止されています。
このあたりもコンセプトというかターゲット層の違いを感じますね。
陽キャ向けか?
おしまい
NFT、どうなんでしょうね。
私のアンテナ範囲だと、正直マイナスイメージが強いなーと思います。
技術としては魅力あるものらしいですが、問題点も多々あり。そしてなにより版権公式を騙った詐欺や無断転載をよく見聞きします。
Skeb公式(及び、なるがみ氏)は「SkebはNFTやりません」と定期的にアナウンスしていて、最近は「絶対に」とまで言い切っていました。
また僕が責任者である間は「絶対に」SkebやポリゴンテーラーグループとNFTは絡めないので安心してください。
— なるがみ (@nalgami) June 10, 2022
そんな中で ベータ版がリリースされた「NFT版Skeb」のRecomet。
私自身が利用するかはまだわかりません(エロ禁止ですし)が、しばらくはウォッチを続けようかなと思います。
Recometの記事はここまでとなります。
おまけ
SkebでNFTやらないって100億回言っとるのにまた言われた😭
— なるがみ (@nalgami) December 7, 2021
この「SkebでNFTやらない」のやりとり(?)も、今後は無くなるんですかね。