Skebは料金表やプランの設定ができません。Twitterに掲載すると警告メールが来ます。
料金表はなぜ禁止なのか?公式情報を元に解説します。
目次
完成度の保証が禁止
まずは規約・ガイドラインの確認から。
金額と完成度
完成度は「◯◯円以上ならフルカラー」というように前もって保証せず、それぞれのリクエストの金額と内容に応じてクリエイターが柔軟に決めてください。
20,000円でラフを描いていただいても良いですし、5,000円でフルカラーを描いていただいても問題ありません。個々のリクエストの金額は第三者には公開されません。
料金表をはじめ事前に完成度を保証する一切の行為は禁止されています。
料金プランの設定が必要な案件はSKIMAさんやココナラさんの利用をご検討ください。出典:クリエイターガイドライン | Skeb 引用日付:2022/03/20
公式ツイートの具体例ではカラー料金や納品日数の保証のほか、差分料金なんかもNGとされています。
⚡️ご注意(3/3)⚡️
Skebでは事前に料金表等で納品物の品質を保証する行為は禁止されています。「○○円以上はカラーになります」「3日以内に必ず納品します」といった掲載はできません。過去の作品を金額と共に掲載することは問題ありません。— Skeb (スケブ) (@skeb_jp) July 15, 2021
完成度の保証が禁止で、料金表やプランはその例として挙げられていますね。
では、なぜ完成度の保証がダメなのか?
完成度保証によるチャージバックの問題
一番の理由、というより問題としてチャージバックがあります。
チャージバックとはなにか?払い戻し・返金の仕組みです。AmazonPayのヘルプから引用。
購入者が、販売事業者様のWebサイトでの注文に関するクレジットカード請求について銀行・クレジットカード会社に異議を申し立てた場合、チャージバックは発生します。チャージバックは「請求の異議申し立て」とも呼ばれ、クレジットカードの不正利用などさまざまな理由で申請されることがあります。異議申請の一般的な理由には以下のようなものがあります。
- カード所有者が、明細書にある請求または支払い先に見覚えがない。
- カード所有者が、商品またはサービスを受領していない。
- カード所有者が、商品またはサービスが不良、破損、または説明とは異なるものであると感じている。
- カード所有者のクレジットカードが盗まれた、または同意なしに使用された。
出典:チャージバックに関するよくある質問 | Amazon Pay ヘルプ 引用日付:2022/03/20
主な発生理由はクレカの不正利用。被害者救済として「持ち主は支払いをしなくて済む」一方で、「加盟店が全額保証」する仕組みです。買い物客は助かりますが、お店の売り上げは消失・没収されて終わりです。
これを悪用した虚偽申告もあるそうで……。
チャージバックとは、クレジットカードの不正利用やフレンドリーフラウド(不正に使用されたと虚偽申告する行為)が発生することです。クレジットカード決済会社さんに受け取り済みの該当の売上を返還する必要があります。クレジットカード会社さんは補償してくれません。(悲しい) (4/5)
— Skeb (スケブ) (@skeb_jp) May 16, 2019
完成度の話に戻りましょう。
クライアントが「この納品物は約束と違う!」と申告。これが完成度の保証で発生するチャージバックです。
事前の金額による完成度の保証は、例えば3万円以上でフルカラーにしますとSkebの把握していないところで説明した上で、ラフで納品すると「約束が違う!」とクレジットカードのチャージバックのリスクが発生する上に、仮に返金することになっても運営が被る可能性があるのでだめです。
— なるがみ (@nalgami) August 28, 2020
Skebでは「クライアントの完成度への異議申し立て」は規約で禁止されています。
しかし、Skebではなくクレジットカード決済会社へチャージバックの申請・承認されると、Skebは売り上げを没収されます。正当な申請でも虚偽の申請(詐欺)でも、です。
悪用すれば無料リクエストすらできる仕組みに見えますね……。
チャージバックによる損失
チャージバックによるSkeb運営の損失について。
売り上げ後の返金処理は「クリエイターからSkebへ売り上げの返金(没収)」と「Skebからクライアントへ支払い金の返金」がセットで行われると思います。
しかし、先のツイートで「仮に返金することになっても運営が被る可能性がある」という文がありました。クリエイターに非がない・非が確認できない場合、売り上げの返金を請求できません。
5. クレジットカード会社から返金の請求が来る
6. こちらからは何を理由に返金しないといけないのか分からず、またSkebの外でどんな取引があったかどうか確認する手段がないのでクリエイターに返金額を請求できない— なるがみ (@nalgami) April 9, 2020
その場合、クリエイターに支払い+クライアントに返金となりSkebは売上の約200%の損失となります。(クリエイターへの支払いは手数料は引いた後)
リクエスト手数料がSkebの売上ですが、利益はクレカ手数料を引いた金額です。つまりチャージバックによる損失は同額リクエストの数百件分……。
過去の実績としては契約内容齟齬のチャージバックが発生してもクレジットカード会社に反証してSkeb側が正しいとなるけど、その資料作るのは手作業で大変だし、1万円のチャージバックが発生した場合、損失は約2万円、手数料が6.8%だとすると売上300-400万円分の手数料がチャージバックに使われる。
— なるがみ (@nalgami) August 28, 2020
「契約内容の齟齬」程度の理由は決済会社から教えられる……のでしょうか?それでも「料金表と違うから」と詳細理由を把握するのは困難でしょう。証拠集めもツイートやプロフが消えたりすれば同様。
というわけでチャージバックの発生は「莫大な損失の発生」です。運営が潰れる可能性すらあり、対策が必要です。
そのためチャージバックの発生防止として完成度の保証を禁止しているのでしょう。
チャージバックはBAN対象
決済会社にチャージバック申請はできますが、Skebの規約に明確に違反します。チャージバックしたクライアントは即BANの対象となっています。
即BAN
・クレジットカードのチャージバック
・循環取引(自作自演等)
・Twitterのフェイクアカウント
・ブーストでクリエイターさんを不愉快にさせる行為
・クリエイターさんにリテイクさせる行為警告、改善しない場合BAN
・打ち合わせ、資料の外送
・規約に反する内容での募集
・無修正、修正不足— なるがみ (@nalgami) July 6, 2020
リクエストの上限金額が30万→50万に開放されたあと、再び30万円に戻ったこともありました。
うおいつの間にかSkebついに上限30万円のリクエストが発生している!!!!そろそろ50万円くらいまで解放するか。システム上は999万円まで決済可能なんだけど、チャージバックが発生したら外神田商事が即死する。
— なるがみ (@nalgami) February 26, 2019
クレジットカードのチャージバックの発生に伴い、一時的にリクエストの上限金額を50万円から30万円に変更いたします。(3/5)
— Skeb (スケブ) (@skeb_jp) May 16, 2019
Skeb内で料金表が無いのはなぜ?
外部の料金表や打ち合わせでチャージバックが発生したらクリエイターに返金請求できない場合があります。
では、Skebのサイト内で料金表が設定できないのはなぜ?
お手軽リクエストに反する
そもそもの話。クリエイターへ返金請求ができるできない以前に、「完成度の異議申し立て」がSkebのコンセプト「お手軽リクエスト」に反します。
完成度はクリエイターが決めます。
金額や気分次第でクリエイターが完成度を選ぶのは今後も変わりません。プランはこれができない。
— なるがみ (@nalgami) October 7, 2021
これがすべてなので以降は蛇足です。
返金手数料はタダじゃない?
※不確定な情報を含みます。
チャージバックでも納品期限切れでも、クライアントへは全額返金されます。
ただし、返金処理にもコストは発生しています。コストが費用なのか作業なのか不明ですが、費用だとしたらSkebが負担しています。件数が増えれば運営にとって重いコストとなります。
料金表も一時期導入を検討していたけど、受けてみたら実際しんどくてこの金額でフルカラーは時間もモチベも無理・・・ってなるケースも少なくなく、現状のルールでも締切超過率が3%前後で、クレジットカードの返金処理もゼロコストではなく、品質保証すると大変なことになりそうなのでやらない。
— なるがみ (@nalgami) August 29, 2020
お手軽リクエストのハードル
上のツイートでも触れられている、クリエイターさん視点からもひとつ。
商業や同人で活躍されている方はともかくとして、Skebで初めて「お金をもらって創作活動」するクリエイターさんは多いようです。
「料金表通りに完成」は技術的、精神的なハードルが高いと思います。
それ以前に「自分の作品の需要がわからない」「おまかせ金額をいくらにすればいいのかわからない」というツイートもよく見ます。
「料金表が不要」は始めるハードルを下げるために有効だと思います。ここでもやはり「お気軽リクエスト」です。
リクエストの募集開始はクリエイターガイドラインを読む1ステップだけですぐに始められます!料金表も不要ですし銀行口座も後から登録できます。気軽にお考いただければ🙏
— Skeb (スケブ) (@skeb_jp) May 31, 2019
ちなみに金額に迷う場合、おまかせ金額の自動調整機能がおすすめです。
で、この自動調整と料金表ってシステム的に併用できなさそうなんですよね。そういう側面もあるのかなーと思ったり。
あと料金表設定すると値上げしづらくないですか?「アイコン:〇〇円、一枚絵:〇〇円」みたいな紐づく情報が増えると、クライアント側は記憶に残りやすいです。しれっと値上げするには金額のみ表示の今の形が良いかと。
料金表の代わりに提示できるもの
「こういうのが書きたいです」みたいなツイートはOKとされています。ユーザーページからの募集ツイートに追記するのもわかりやすくて良いと思います。
完成度の保証をしなければ大丈夫なので「この絵はいくらで受けました」と言うのはOK。ローカルルールの設置禁止も同じ理由で、Skebがクレジットカード会社に申請している契約内容(=Skebの利用規約)に齟齬を発生させてはだめと言う点だけ。何のリクエストが来ると嬉しいとか嫌とか話す分には全然OK。
— なるがみ (@nalgami) August 28, 2020
他になにかできることは?
最後にこれを考えていきます。
藤三郎氏の過去絵サンプル
>過去の作品を金額と共に掲載することは問題ありません。
記事の最初の方で引用したツイートにこうあります。しかし、実際に過去作品と金額を一緒に掲載しているのを私は見たことがありません。
ただ、Skebサービス開始当初は「料金表は非推奨」で禁止されていなかったため、過去作品で料金表を掲載したクリエイターさんがいました。
藤三郎氏(@TOOMIRO)の料金表はSkeb公式から「簡潔でわかりやすい」として紹介されました。アイコン、キャラデザ、イラスト(一枚絵)ごとに、Skebの過去作品と料金が載っています。
料金表について現在サービス内で掲載できないようにしているのは、表に記載の金額以上で依頼が来なくなってしまうのと、金額計算が細かすぎて特に海外のクライアントの方のハードルとなってしまう点を懸念しています。
Skebで人気の藤三郎さんの料金表のような簡潔で分かりやすいものが理想的ですね! https://t.co/gH5Ov3kF4Q— Skeb (スケブ) (@skeb_jp) January 8, 2019
その後、料金表は禁止となり現在は金額の表記を消したものになっています。それでも「何を受けているのかわかりやすい」良い表だと思います。
また「版権モノ(二次創作)とNSFWはNG」が英語で書かれているところも、国内外のクライアントにもわかりやすいです。
コミッションはSkebからご依頼ください。https://t.co/jGMrXKBQTd pic.twitter.com/S9j62AjcxV
— ⛏藤三郎⛏ (@TOOMIRO) July 5, 2021
他サービスのプラン
ややグレーな方法ですが。
Pixivリクエストではプランの設定ができます。
規約やヘルプをざっと見た感じ、「完成度保証によるチャージバックのリスク」は織り込み済み?大手ゆえにできることでしょうか。
プランは品質保証という面でメリットよりもトラブルの方が大きいのでSkebでは今後もやりません。Pixivリクエストが最近できるようになったらしいのでそっちを選択肢に入れてみて。
— なるがみ (@nalgami) October 7, 2021
単一プランはともかくとして、アイコンと一枚絵などの複数プランを設定しておくとクライアントはSkebで頼む場合の参考になります。
と言い切っていまうとSkeb運営から警告来そうなので、あくまでも「参考にして」という書き方のほうが良いでしょう。
必ずしも参考にはならない
クライアント側への注意点。
というような、クリエイターさんごとのスタンスがあります。
必ずしも他サービスのプランが参考になるわけではありませんのでご注意を。
まとめ
- 完成度の保証が禁止。料金表禁止はその一例。
- チャージバックで運営がヤバい。1件で同額リクエスト数百件の利益が消える。
- 実績の掲載なら問題なし。他サービスのプランは参考で。
おわり
「料金表はなぜ禁止?」の記事はここまでとなります。
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