2022年。8月ごろからイラスト界隈はAIの話で盛り上がっています。
良し悪しは置いといて。
そして10月5日。とうとうSkebでAIが生成したイラストの納品と運営削除が観測されました。
目次
NovelAI Diffusionの登場
背景。
2022年8月の「Midjourney」から始まって、「Stable Diffusion」「mimic」など様々なイラスト生成AIサービスが登場、話題となっています。
そして10月3日に「NovelAI Diffusion」、通称「NovelAI」が登場しました。
海外製で「二次元アニメ絵に強い」のが特徴、有料サービスながら大人気だとか。
一方で学習データに無断転載サイト「Danbooru」を使っていて、反発の声も強いようです。
参考:画像生成AIサービス「NovelAI Diffusion」が無断転載サイトからの学習で物議 法的観点からも複雑な事態に(KAI-YOU.net) - Yahoo!ニュース
ちなみにDanbooruというサイト、Skebのリクエストで資料に貼られているの見ますね。海外クライアントが主でしょうか。
無断転載じゃないのもあるかもしれませんが…うーんってなる。
SkebでAI納品が処された…らしい
案の定というか、SkebでもAIで生成したイラストが納品がされたようです。
ただ、NovelAI登場の翌日に起きているので、別のAIかもしれません。

※以下、諸々の判断によりクリエイターや作品は特定できないようにぼかします。
①10月4日の納品物
10月4日の夕方、17時半くらいに納品されたNSFW絵。
某所ですぐ「あれAI絵じゃない?」と話題になり、私も作品を確認しています。
オリジナル女キャラの全裸ソロ立ち絵でした。

その後、10月5日へ日付が変わる前後に削除されたようです。
※メモしておいたURL(~/works/○)とユーザーページの作品数が合わない→非表示化ではなく削除と判断。
だいたい7時間くらい。なかなかのスピード処理だったかと。
一応、AI以外の理由で削除された可能性もあります。
が、納品から丸一日経ったあたりで別の場所でクリエイター本人から「AI出力したのを部分修正した絵」というコメントが。
というわけで、私が観測できた範囲では初のAI納品かつ運営から処されたSkeb作品となりました。
ちなみに削除されたのは該当作品のみで、過去の納品は残っています。
クリエイターのSkebアカウントも凍結されていません。
作品削除と警告はされますが、即BAN対象ではないようです。
別の「3Dモデルのイラスト」(これも規約NG)を納品したクリエイターも同様の処置でした。

で、この作品。私は正直シロだと思ってました。
情報源のとこだと「手がおかしい」とか「塗りがそれまでと違う」とか言われてたので、見る人が見れば判断できるようですが…。
もう私には見分けがつかないレベルのようです。
②10月5日の納品物?
10月5日の午前8~9時くらいに、Twitterで話題になりました。
「SkebでAI作品が納品されて運営削除された」と。

しかし私には火元がつかめず…。
スクショの1枚も出てこないので、①と同じなのか別件なのか、そもそも本当なのかどうかもわからずじまいでした。
Twitter民も意外とリテラシーが高いのか?
「過去の納品と塗りが全然違った」というツイートもあり①と別件かと思っていたのですが、私の目は節穴だったので…。
いまさら探し当てるのも無理そうなので、「別件あったかも」くらいにしておきます。
どうせこれから大量に発生するでしょうし。
というわけで最低1件、もしかしたら2件(以上)が観測されました。
来るべき時が来たって感じですね。
Skebの「イラスト」はAI禁止
Skebの規約や対応について。
クリエイターガイドラインに明記
もともとガイドラインでは「クリエイターが直接描いたイラスト・漫画」以外は禁止されていました。
これがAI禁止も含んでいたという扱いです。
今回の騒ぎの後、少し加筆されました。
Skebの仕様
・サービスの対象作品
本サービスはイラスト、漫画、ボイス、テキスト、ムービーおよびミュージック専用です。次に該当するもののみやり取りが可能です。
・クリエイターが直接描いたイラスト、漫画(中略)
「イラスト」ジャンルでイラストや漫画以外の3Dモデルやスクリーンショット、AIが生成したデータの一部または全部を納品することはできません。
また指定ジャンルと異なる形式で納品することも規約違反となります。出典:クリエイターガイドライン | Skeb 引用日付:2022/10/06
赤字部分、「3DモデルやスクショNG」と補足していたところに「AIが生成したデータの一部または全部」がNGであると明記されています。
ちなみに「イラストではNG」なので他のムービーやアドバイスでは可能です。
イラストや漫画以外の例として3Dモデルとスクリーンショットを挙げていたけど、AIも追記した。
アドバイスジャンル等でのAI使用はOKなので、詳しくはガイドラインを見てね。
この辺の内容は昔から変わってないです。— なるがみ (@nalgami) October 5, 2022

なるがみ氏の反応とSkeb近況
なるがみ氏が「AIについて」ツイートしています。
AIについて
1. AIはクリエイターを完全に置換するのではなく、将来的には3Dのマネキンツールのようにクリエイターの創作を加速させる技術になると思う。
2. 価格・納期・量が重視される二次利用を前提とした「素材」としての創作物は、一部AIに置換されるかもしれない。AI版いらすとやさん。
(続く)— なるがみ (@nalgami) October 5, 2022
スレッドになっているのでぜひご一読を。
以下、気になったところを抜粋。
Skebでは現在「ツールとしてのAI」も一律して利用を認めていない
ひとつめ。
5. Skebでは現在「ツールとしてのAI」も一律して利用を認めていない。過渡期で毎日良い意味でも悪い意味でもニュースを見かける。
この混乱期に利用を認めると、サービスコンセプトを勘違いする人が現れたり、不正送金の温床となったり、スタッフのコストも跳ね上がるから、認めるとしてもまだまだ先。— なるがみ (@nalgami) October 5, 2022
「下絵はAI出力で」とか「背景だけAI出力で」もNGになりそうですね。
ただ、正直「運営がどうやって判定するのか?できるのか?」と疑問に思います。
私よりは見る目があるみたいですけどね。
「公には認めない」と太めのラインを引いて、露骨にアウトはバッサリ処す。ギリギリのは個別に判断する。
実際はこんな感じじゃないでしょうか。
すり抜けてしまうことはあるかもしれません。
SkebのNSFWは「街頭で掲示できるか」が基準になっています。
不明瞭化処理も数値化できるモザイクは明確化していますが、黒海苔や白抜きの基準は明示されていません。
悪く言えば曖昧ですが…ある程度の柔軟性を持たせないとサービス運営なんてやってられないだろうなーと思ったり。
「これ怪しくね?」な作品が今後は増えていきそうですね。
人口100人くらいしかいない特殊性癖
7. エロもAIに置換される可能性がある。抜くことがある意味二次利用になっているから。
Skebは、自分のオリキャラ・アバター、人口100人くらいしかいない特殊性癖など、お金をかけないと創作されないものが占める。これらはAIが学習できるほどのサンプルがなく、クライアントの要求水準も高そう。— なるがみ (@nalgami) October 5, 2022

引用RTしたらさらに引用RTされて、いくつか教えていただきました。Skebやべえなってなりました。
近況はAIと別のところで忙しい
AIよりも銀行振込・コンビニ払いのインパクトが強かったとのこと。
今困っているのはAIではなくて、銀行振込とコンビニ払いを実装した直後から、規約で禁止されている料金表の掲載をしてしまうクリエイターが数十倍に急増していて、スタッフが対応に相当の時間を使っていることです。
— なるがみ (@nalgami) October 5, 2022
当ブログの記事をRTやシェアしてくださったユーザーさんもいました。
関連記事:
【Skebコラム】料金表なぜ禁止?→完成度保証が禁止、チャージバックで運営がヤバい

サジェストバン食らってるせいか通知が来ないんですけどね…検索で見つけました。
雑感
いろいろ思うことを。
私はAIではありません
「AI生成イラストではない」ことをどうやって証明・確認するか?
Twitterなどでクリエイター・クライアント双方から意見が出てますね。
ラフ絵をPSDレイヤーに仕込むとか、作業途中絵(WIP)やタイムラプスを公開するとか…。
私もそういうの見るのは好きです。
ただクリエイターさんの作業負担が大きくなるのは嫌だなあと。
セキュリティ事故あったからPWを毎月変更させます!みたいなアレを感じます。
ユーザーレベルで何ができるか?はこれから本格的に議論されるのでしょうか。

一方でSkeb側。
少し前からSkebはクリエイター登録時に審査されるようになりましたね。
お金にかかわる不正防止のためらしいですが、今後というか現在はAI絵師の門前払いも同時に行っているかもしれません。
あと昔からTwitter情報をなんかいろいろやってるらしいです。
Twitterの属性情報からタグの生成とクラスタリングできた。めっちゃAPIの回数制限に引っかかったけど、ユーザーのアクティビティからそれっぽい好みの作品や性癖のタグを抽出できるようになった。
— なるがみ (@nalgami) May 14, 2019
最近AI絵を上げたクリエイターは人力チェックの優先対象…みたいなロジックも組めるかも?

通報?無理でしょ?
同じくTwitterなどで「SkebのAI作品を通報したい」、もっと言うと「させろボケ」くらいの意見を見ましたけど…
無理でしょ。
お気持ち通報が多すぎて当事者以外は通報できないようになり、さらに現在はクライアントからの通報は不可というのがSkebの現状です。
気に食わないクリエイターさんをSkebで規約違反だと匿名で通報してくる人がいるんだけど、規約違反かどうかは責任者の僕だけが決めることであって本当にしょうもないと思う。IPアドレスとか全部記録してあるので続くようなら対策します。
— なるがみ (@nalgami) December 16, 2019
ただし当事者(クリエイター・クライアント・原著作者等)以外からの通報は一切受け付けていないのでそこだけ気をつけてください!
— なるがみ (@nalgami) April 1, 2020
結果として本当にアカンやつでもクライアントが通報できなくなりました。
どうにかして欲しいですが…まあ無理でしょうね。

おしまい
昨今のイラストAI絡みの話は疲れますね。
対立煽りとかレッテル貼りも多く、見ていてげんなりします。
というか会話可能な美少女AIまだですかね?
想像してた未来とは全然別の方向に進んでるのが一番の不満。
「AI納品が処された日」の記事はここまでとなります。
